Seeds To Grow / 中村まり

SEEDS TO GROW

SEEDS TO GROW

静かに、でも確実に支持を広げている女性シンガー・ソングライターの、全編英詩で歌われたフルアルバム。シンガー・ソングライターといっても千差万別ですが、彼女はフォークやカントリーといったアメリカのルーツミュージックの空気を思い切り吸い込んだ音を響かせています。

冬の早朝のように澄みわたり、張りつめた空気の中、アコースティックギターを中心としたシンプルな演奏とハスキーなヴォーカルが胸を打ちます。これは1970年代に発表されたアメリカのシンガーソングライターによるアルバムだ、と言われてもぼくは納得していたでしょう。

歌も詞も、すべてが良い意味で老成されていて、そっと肩を抱いてくれるような慈愛に満ちています。ブレイクしたり、様々なメディアで大々的に取り上げられるような、そんなアーティストではないでしょう。だからといって彼女の音楽がつまらないわけでもありませんし、逆にこういう音楽が売れない音楽シーンが未熟だというわけでもありません。売れる売れないは巡り合わせ。そんなに気にする必要もありません。ぼくはただ、このアルバムが彼女が音楽活動を継続していくのに支障がない程度に売れて、また新しい彼女のアルバムに出逢うことが出来れば幸せだなと思います。

レーベルのサイトでは試聴ファイルがいくつか用意されています。聴いてみて苦手だなと感じる方もいるでしょうし、夢中になる方もいることでしょう。少しでも多くの素敵な巡り合わせがあることを、と願いつつ…。

参考までに、id:addsomemusic:20050222さんのところにもレビューがあります。こちらより参考になることをいろいろと書かれていますので、ぜひどうぞ。


※あ、来週彼女のライブを見に行ってきます(吉祥寺)。