The Doll House / Phil Ochs

Valley of the Dollsでなんとなく思い出しました。かつてはボブ・ディランのライバルとも言われた人で、ぼくの一番好きなフォークシンガー。ジョン・レノンがフィル・オクスを尊敬していたという話もありますが、その話もなるほどと頷けるぐらい、ロックしか聴かない人にも訴えるものがあると思います。そういえばこの人も最期は自殺でした。

There & Now: Live in Vancouver 1968

There & Now: Live in Vancouver 1968

Lost in the valley of dolls
Fell from the path, it was nobody's fault
That I was alone.
Time dripped from the trees
I leapt through a land
I fell to my knees before the throne


人形たちの谷間に彷徨いこんだ
道をはずれてしまって
僕が独りぼっちなのは誰のせいでもない
木々の間からこぼれ落ちる時間
僕は国中を飛び越えてゆき
玉座の前に跪く

dolls」は詞の中では「人形」という意味ですが、「芸能界(音楽界)」や「麻薬」といった意味も含んでいるのでしょう。「音楽界でひとり取り残されて」「アルコールに溺れて」のような。ボブ・ディランエレキギターを使用するようになって以降、モダン・フォーク運動は勢いを失い、変わってバーズやママス&パパスなどのフォークロック花盛りの時代を迎えるのですが、多くのフォーク・グループがロックとの融合に向かう中(PP&Mもブラフォーも、みんなこの時期はロックよりのアプローチを試みていますね)フォークへのこだわりと時代の流れとの間で葛藤を続けていたのが当時のフィル・オクス。当時、彼の置かれていた立場を知ると、いろいろと深く考えさせられる詞でもあります。

政治的な歌が一般には有名なフィル・オクスですが、"Changes"や"I've Had Her"のように、後期には内省的な詞も増えて、それも好きです。