FLAGE / ROVO

FLAGE

FLAGE

今さら紹介するのもアレなのですが、山本精一勝井祐二らによって結成されたROVOの2枚目のアルバム。トランス・ロックとでも言うのでしょうか。反復されるギターやヴァイオリン、ドラム、パーカッションの生の音が重なり合って独特のグルーヴを生み出し、縦横無尽に駆けめぐるスペーシーなシンセが音宇宙へのトリップにいざないます。少しずつ重なっていったり、あるいは重なり合ったりまた離れたり、聴き手を焦らせに焦らせた末に一気にクライマックスを迎える瞬間の、何ともいえない開放感が素晴らしいです。ライヴで聴いて踊り狂うと気持ちが良さそうですが、ステレオで鑑賞しているだけでも十分この世界に入り込むことが出来ます。

静かな盛り上がりをみせ、ラテンのビートが爆発する「CANVAS」は、その名の通り真っ白なキャンバスに絵の具をぶちまけていくような快感のあるトラック。14分弱の時間がちっとも長く感じません。むしろ、短すぎ。アンビエントなアプローチをみせた「CANOA」やドラムのビートが印象的な「SPICA」、圧巻の展開で最後のトリップへと誘う「NA-X」などとにかく無駄な部分はありません。あまりに隙がなさすぎて、それが逆に不満にも思えるほどの完成度。本当に素敵なアルバムだと思います。