日本ロック元年 / メガマサヒデ

日本ロック元年

日本ロック元年

夜の音楽番組に出ていたメガマサヒデを見て、思わず彼のアルバムを購入してしまったのは半年ほど前のこと。ガガガSPコザック前田とは中学の同級生。このアルバムにはガガガSPの山本聡やサンボマスター山口隆が参加しています。

サンボマスターガガガSPとは共演したりしていますが、サウンドは似て非なるものといえます。サンボマスターは、こういう言い方はどうなのか良く分かりませんが、荒削りで衝動に任せて歌っているようなところはあっても実は細部まですごく計算し尽くされたようなサウンドだと思います。フォーク色がほとんどない分だけ洗練さているように感じられますし、ああいう風に熱い衝動をスマートに聴かせたのが新鮮なこともあって、あれだけ幅広く支持を広げることが出来たのでしょう。ガガガSPの場合はフォークからの影響もサウンドに反映されているのですが、それに加えてハードコアやパンクといった音楽の音も取り込んでいるので、こちらも耳馴染みが良いです。

メガマサヒデの場合はフォークとパンクの影響が大きいのですが、いろんな意味でアマチュアっぽいサウンドです。歌唱力にこだわる人は絶対に受け入れられないような音楽ですね。ギターを一本持って、ほんの少しコードを覚えれば誰でも歌えるというのがフォークとパンクの素晴らしい点だとぼくは考えているのですが、今はフォークやパンクのミュージシャンもしっかりとしたテクニックを身につけている人が多くて、それはそれで素晴らしいことだと思うのですが、やはりちょっと寂しく感じる時もあります。メガマサヒデのシンプルな演奏と、音程を取ろうともせず時に激しく、時に優しく歌われる歌は、音楽を聴く喜びや歌う喜びといったものを再度思い出させてくれます。

放送禁止用語を歌詞に含む過激な曲もあればストレートなパンクもあり、内省的なフォークもあります。どの曲もそれぞれ好きなのですが、どれか一曲を取り上げるのならやはり「夏の雫」で、ノスタルジックなフォークのメロディーとアシッドフォークにありがちな籠もり気味のギターの音色が非常に美しくて、聴くたびに感傷的な気分になります。