なぎらけんいち / 街の風になって

街の風になって

街の風になって

すっかり下町のおっさんになってしまった(誉めてますよ)なぎらけんいちですが、この頃はまだ若さが感じられたりして、ほほえましい。アメリカのフォークやカントリーと言ったルーツミュージックに多大な影響を受けているという点では、当時の日本の他のフォークミュージシャンと同じですが、なぎらけんいちの場合はそれらがすべて東京の下町的な情緒に流れてゆくという味があります。The Seekersの「We Shall Not Be Moved」やPP&Mの「Pack Up Your Sorrow」(オリジナルじゃないけど)などを思わせるシンプルなフォーク調の「四月十日の詩(デン助劇団に捧げる唄)」にも、そうした情緒が感じられて、ほっと息をつきたくなります。

ちなみに、彼が書いた日本のフォークに関する著作(ちくま文庫から出ていたはず)も必読。