五つの赤い風船 / 時計

五つの赤い風船の「時計」はビーチボーイズの『Pet Sounds』などと同様に「喪失の音楽」だと思います。歌詞などの表面的な部分ではなくて、音楽が直接に、人の意識に喪失感を呼び起こす「喪失の音楽」。音楽を聴くことによって何かが失われるというわけではなくて、音楽を聴くことによって何かは常に失われ続けていること、何かはすでに失われてしまったこと、何かはやがて失われてしまうであろうことを強烈に意識させられるのです。生きていると常に何かを得ながら何かを失っているもので、そんなの仕方がないじゃないかという話なのですが、でも誰しも絶対に失いたくないものの一つや二つはあるわけで、だから「喪失の音楽」は悲しく儚く、それゆえに人の心をつかんで離しません。

とかいうことを、「これからは毎週堀北真希を見られる生活は送れないんだよなあ」という喪失感に浸りながら考えていました。なんてちっぽけな…。