五輪真弓 / 少女

少女

少女

日本のキャロル・キング…かどうかは分かりませんが、ピアノでキャロル・キングが参加しています。その他にも、チャールズ・ラーキー、クリス・ダーロウ、木田高介という名前があって、ただごとならない雰囲気は伝わってきます。そんな五輪真弓さんの、1972年に発表されたデビューアルバムが、この『少女』です。

音楽性は、これはキャロル・キングをはじめとする1970年代初期を彩ったSSWに非常に近いのですが、しかしそうした本場のミュージシャンの作品と並べても遜色のないできばえです。遜色というとちょっと違うかも知れませんが、良い悪いは別として、そういうSSWに影響を受けた日本のミュージシャンが作る音楽というのは多かれ少なかれオリジナルとは異なる雰囲気の旋律やアレンジが入り、また別の音楽になるのですが、この『少女』というアルバムはほとんど一切の妥協なくアメリカのSSW(特にキャロル・キング)に向き合っています。そのあたりで、アメリカ音楽好きには直球ど真ん中という感じではないでしょうか。まあその辺は、バックのミュージシャンの貢献が大きいですが、それを置いても良い曲を書いていると思います。タイトル曲もいいですが、二つのアコースティックギターの絡まりが繊細な曲を引き立てる「朝もやの公園で(In The Misty Morning)」なんかもいいですね。「枯葉が舞う時(When The Autumn Leaves Fall)」のように繊細な曲や、「はと(Dove)」のように壮大な曲とのバランスもいいです。