ohana / オハナ百景

ohana/オハナ百景

ohana/オハナ百景

動かしがたい事実が一つあります。それは、ハナレグミ永積タカシさんの声が苦手ということで、ハナレグミには好きな曲も好きなアルバムも一応あるのですが、しかしいつも居心地の悪さを感じていたりします。だから、このアルバムを聴いていても多少の収まりの悪さがそもそもぼくにはあるわけで、これはそういう人間が書いた感想ということでよろしくお願いします。

ところで、シングルとしてもリリースされた「予感」は名曲でした。穏やかな日のさりげない優しさと痛みが伝わり、いつまでもその世界に身を浸していたくなります。ピースフルな「Shake Your Hand」に、アットホームな雰囲気を出したラモーンズのカバー「I Wanna Be Sedated」、幽玄の世界を聴かせる「オハナレゲエ」(この曲での永積さんの歌は好きです)、賑やかな「ohana song」、幸せに包まれた「くすりのくすり」…って、あれ、意外と好きな曲が多いですね。それで、ぼくがこのアルバムを好きだと言い切れないのはなぜなのか考えてみても、それは「Heavenly」で見られる優等生的な佇まいなのか、「ohana song」のよく言えばシンプル悪く言うと単調なサウンドなのか、「Blue」のような単純にぼくが苦手とする音なのか、なかなか結論が出ません。結局はそれらをすべて含めたこのアルバムの印象に何かひっかかりを感じるというのが大きいのですが、難しいのはぼくの感じている彼らの欠点というのが欠点であるばかりでなく、かえってそれが魅力であることもあるというのがよく分かるということです。このアルバムが好きな人にしてみれば、ぼくが苦手と感じる部分は、「何を言っているんだ、そこが魅力じゃないか」ということになるでしょう。

一つ確かだと感じたことは、彼らの音楽は、ライブにおいてこそ本領が発揮されるのではないかということです。苦手とか少しシンプルに過ぎると感じた曲も、ライブになるとそういう雑念に惑わされる暇もなく、楽しめるのではないかなあと思います。あ、苦手苦手と書いていますが、それは期待が大きかったからで、100点満点で点をつけるなら70点ぐらいはあります。