流線形 / シティミュージック

シティ・ミュージック

シティ・ミュージック

車の窓に流れていく景色が浮かぶ「3号線」。都市のイメージは様々ですが、ぼくはハイウェイを飛ばしてゆく自動車に都市を感じることが多々あります。「3号線」もその例に漏れず、そっと都市のイメージを振り撒いていて、聴く人を成熟の時間へと誘い込みます。

「3号線」は荒井由美の「中央フリーウェイ」にそっくりなのだそうです。ぼくは言われるまで気付かなかったのですが、確かに似ているかもしれません。ただし、気がつかなかった言い訳というのでもないですが、二つの曲にははっきりとした違いがあるようにも思われます。「中央フリーウェイ」は夕暮れから夜にかけての曲ですが、初夏の日中のドライヴにも似合いそうな明るさというか楽観があります。それに対して「3号線」はどう考えても日中はふさわしくなくて、夜のハイウェイが似合う哀しさが備わっています。これが今と昔のシティポップの差である…と決めつけるわけにもいきませんが、「中央フリーウェイ」の語り(といっても歌詞のことではないです)はどうも現在進行形で、「3号線」の場合は過去形であるように感じられるのもまた興味深い事実です。

ソウルミュージックのおいしいところをうまくポップスに取り込んだような「恋のサイダー」は、ふとシュガーベイブの「Down Town」を思い出したりもするのですが、それよりも同世代の素敵なバンドであるLampなどとも共通する雰囲気があって、楽しめます。フルアルバムのリリース計画もあるようで、レコーディングも終盤にさしかかっているようですが、今後の活躍がますます楽しみですね。