Polaris / Union

Union

Union

たとえば初期のロックやパンクに世界から個人をすくい取る、生きている実感を与える傾向があるとすれば、Polaris(に限りませんが)の音楽はその逆で、彼らの音楽には個人を世界に落とし込むようなところがあります。音楽の中に自分が溶け込んでいく気持ちよさとでも言うのでしょうか。Polarisのような音楽を語るときの常套句に浮遊感という言葉があって、フィッシュマンズbonobosの音楽について書くときにぼくもよく浮遊感がどうこうと書いたりしますが、でも浮遊感というだけでは分からないこともあります。というのは、たとえばbonobosの浮遊感というのは音楽と自分とがはっきりと分離していますが、Polarisは一体となって分離していない浮遊感なのですね。この違いというのは決して小さくはないと思うのですがどうなのでしょうか。

うまく説明できないので話を戻すと、これはPolarisの3枚目のアルバム。ドラマーが変わって最初のアルバムでもあります。過去のアルバムと比べるとどうかというのは、特に昔から聴いていたファンの方には言いたいことがいろいろあるかとは思いますが、美しく響く素敵なアルバムだとぼくは思いますよ。