飛行機事故で死にたくない

という歌があり、また「I Don't Wanna Die In An Air Disaster」という歌がありましたが、ぼくにはどうも自動車事故で死にたくないという方が切実に感じられます。(ただ、前者は冗談まじりの嫉妬からできた歌だったはずです)

後部座席のシートベルト着用義務化をやり過ぎだとか自己責任でとか言う人もいますが、そういうことではないんですよね。義務化されない状況で、というか後部座席での着用率が1割にも満たないような国で、後部座席でシートベルトを締めるという行為は「あなたの運転は信用できません」と言っていると受け取られかねないわけで(あるいは格好悪いとか臆病だとかいろいろなプレッシャーがあるわけで)、シートベルトなんてしたくないという人は管理されているとか自由が失われたと感じるのかもしれませんが、むしろこれでシートベルトをする自由を得たのだと思います。

「I Don't Wanna Die In An Air Disaster」というのはアルバートハモンドの曲で、彼は確かスペイン系かあるいはスペインで育った人だと記憶しています。アルバートハモンドはずいぶんと器用なソングライターで、彼が書いた曲は、日本でもヒットした「It Never Rains In Southern California(カリフォルニアの青い空)」のように比較的スマートな曲から、ホリーズが取り上げてヒットした「The Air That I Breathe(安らぎの世界へ)」、アート・ガーファンクルが取り上げた「Half A Million Miles From Home」(←勘違いしていました。「99 Miles from L.A」でした。)(ガーファンクルは他にもハモンドの曲を取り上げていますが)のように洗練された曲、そして(ブラスロックを通り過ぎて人気ポップ・ロックバンドとなった)シカゴが取り上げた「I Don't Wanna Live Without Your Love」まで幅広くあります。

「I Don't Wanna Die In An Air Disaster」はタイトル通り飛行機恐怖症を歌った歌で、たとえばサイモン&ガーファンクルの「The Only Living Boy In New York」なんかを思わせる抑制のきいた素晴らしい曲なのですが、クールな曲調の中に冷ましきれない熱というか暑気が感じられて、それがまた良いのです。息子も少し前にストロークスのメンバーとして華々しく世に出て騒がれて、ソロ作品も出しているはずですが、親もまた偉大なのです。