Heron / Heron

ヘロン&シングル(紙ジャケット仕様)

ヘロン&シングル(紙ジャケット仕様)

花粉が飛び始めました。花粉症のおかげで春という季節がすっかり苦手になってしまいましたが、今日はポカポカいい陽気で、春が好きな人が多いのもうなずけます。

Heronというのはイギリスのフォークグループで、野外録音で小鳥のさえずりも一緒に録音されているようなHeronの音楽には木漏れ日とか日だまりとかいう言葉がよく似合います。1曲目の「Yellow Roses」から、映画のワンシーンのような美しい木漏れ日が目に浮かびます。何よりHeronの魅力は物語性に富んでいるところというか、物語と言っても詩作のことではなくて、とにかく一曲一曲のメロディラインが静かに、でも力強く情景を描きます。Heronの音楽を聴き終えた後に残る余韻は、素晴らしい連作小説の読後感に似たところがあります。

メロディラインやハーモニーの美しさからSimon & Garfunkelを連想したりもしますが、土地柄なのか、Heronの音楽にはシリアスな空気が微塵も感じられません。だからこんな春の陽気の日には、散歩でもしながらこのアルバムを聴くのがたまりません。