Estelle Levitt / Isn't It Lonely Together?
- アーティスト: エステル・レヴィット
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN Inc.
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
あまり期待していなかったアルバムが思いもかけず良い出来だったりすると嬉しいものですが、最近購入したEstelle Levittの『Isn't It Lonely Together?』もそんなアルバムの一つです。Pied Piper DaysのシリーズとしてCD化されたアルバムで、同時にCD化されたKaren Bethの『New Moon Rising』のついでに手に取ったものです。そんな訳で、実際に聴くまでは、Kenny Rankinの「In The Name Of Love」の共作者(作詞)でアレンジャーがポップス・ファンにはおなじみのCharlie Calelloということぐらいしか知りませんでした。
どこにでもいそうな女性(本人)が写った素朴なジャケット。ライナーでCarole Kingと同じユダヤ系アメリカ人のソングライターだと紹介されていますが、このアルバムの制作にあたっては3年ばかり前の『Tapestry』以降ヒット作を次々と生み出してSSWブームの先鞭をつけたキャロル・キングを相当意識していたものと思われます。
アルバムの冒頭を飾る「Lonely Together」は、実はライナーを読んでいて気付いたのですが、Stark & McBrienのアルバム『Big Star』に収録されていた「Isn't It Lonely Together」と同じ曲でした。Stark & McBrienのアルバムでは甘いポップス・アレンジを施されていましたが、こちらはすっかりキャロル・キング。ちょっと嗄れた歌声も洗練されたアレンジも、すっかりキャロル・キングです。キャロル・キングということでいえば、「In The Name Of Love」も、ケニー・ランキンの歌とはうってかわったワルツ・アレンジで、すっかりThe Cityの「Snow Queen」の姉妹曲という趣です。しかも二番煎じとはいえないぐらい出来がいいのですね。このあたりはさすがチャーリー・カレロといったところでしょうか。
とは言ってもそういう曲ばかりではなくて、チャーリー・カレロのペンによる「Good Morning Captain」なんかはポップスのお手本みたいな曲ですし、「Every Time I Turn Around, It's Sunday」はバカラックっぽいところも、カレンのような歌声も含めてすっかりThe Carpentersです。
器用貧乏なアルバムというか、SSW路線でもポップス路線でももう少し徹底していれば良かったのかもしれないですが、それはそれとして、思いもかけず素敵なアルバムに出会ったなあという感じです。