To Communicate / Bob Dorough

トゥ・コミュニケイト

トゥ・コミュニケイト

ちょっと音楽を聴くことに疲れたので、どういう音楽を聴こうかなと考えていた。ん、ちょっと待てと言いたい人の気持ちもよく分かる。音楽を聴くことに疲れたら聴かなければよいのだ。しかし閑かな山奥なら別として、車や電車の音も騒々しい都会にある一部屋で何の音楽を聴かないというのもまた疲れる。

しばらく考えて、こういう時に聴くならばやはりボブ・ドロウかな、という結論に達する。『Just About Everything』も良いけれど、こういう雨の日の午後は『To Communicate』かな、やっぱり。トーキング・スタイルの歌唱が特徴的なボブ・ドロウはポップス・ファンから人気の高いジャズシンガーで、気張ったところがないので聴きやすい。女性コーラスをバックに軽快に歌い上げる"Ob-La-Di Ob-La-Da"も良いし、ブロッサム・ディアリーに提供した"I'm Hip"のセルフカバーも茶目っ気たっぷり。優しくて洒脱な彼のアルバムは、どんな気分の時にでも素直に耳に入ってくるのです。