イスラームの日常世界

イスラームの日常世界」はイスラム入門書として良く読まれている文献。これをキーワードに検索してきた人がいるのでふと考えたのだけど、イスラームの日常とは別に現代イスラームの動向と民主化への動きを理解する上で重要な文献は何だろう。色々文献が出ているけれどよく分からない。イスラーム研究者というのは概してイスラームの悪口は言いたがらないので、結果的に擁護論ばかり述べてつまらない。逆に研究者以外の国際政治学者やジャーナリストなんかが書いた文献を読むと、ほとんどイスラームの知識を持たないままの議論になってしまって読む気も起こらない。

ということで個人的におすすめなのは栗田禎子さんの関わった文献。彼女は従来の東西対抗史観からの脱却にかなりこだわっている方で、たとえばイスラームと民主主義はそもそも相容れないといった主張やオリエンタリズムを強く批判し、また反証している。本来専門としているのはスーダンとかあっちの方だったと思うけれど、しかし面白い議論をしているな、という気はします。