delayed / Syrup16g

DELAYED

DELAYED

アルバムジャケットに写るのは、どこかの空港でしょうか。夜の空港というのも地味ながら魅力がありますね。いや、夜こそ本当の空港の魅力が浮かび上がってくるのかも。空港なのだから、発着する航空機の轟音が響いているはずなのですが、写真からは音という音がほとんど伝わってきません。時間を進めて、あるいは後退させて、それが明るい空港の写真だったなら、ぼくはそのような感じ方はしなかったでしょう。

Syrup16gの4枚目のアルバム『delayed』の空気は、まさにそのアルバムジャケットの通り。アコースティックな曲もあれば激しくギターをかき鳴らす曲もあるというのに、アルバムにはいつも静寂感がつきまといます。そして、ひどく暗い。心の中の闇の部分を見せつけられているようで、こちらまで狂おしい気持ちになってきます。ただヴォーカルだけが当てもなく、あるいは曲によっては凛としてその闇の中を進んでいきます。それは絶望的なまでに美しいロック。