ワシントン C.D. / ホフディラン

Washington,C.D.

Washington,C.D.

<自分語り>
はじめてホフディランの曲を聴いたのは中学生の時で、確か「スマイル」という曲でした。中学生の頃のぼくは偏った音楽の聴き方をしていて、英米の音楽(特に1960年代)以外にはまったく興味を示しませんでしたし、日本の音楽なんてくだらないと思っていました。そんなだから小沢健二とかは普通にスルーしていて後からひどく後悔したのですが、邦楽の中でもホフディランはかろうじて聴いていました。ボブ・ディランに似た名前(保父さんだからホフディランでしたっけ)だったので、抵抗感がなかったのです。
</自分語り>

ホフディラン小宮山雄飛ワタナベイビーの二人によるユニットです。ビートルズ直系の英国的なポップセンスが光るユウヒと、拗くれたメロディと心の内ををストレートに吐露した歌詞が強烈な印象を残すワタナベイビー。二人の全く異なる個性がぶつかり合ってうねりのあるポップな作品を作り上げていったのがホフディランだと思いますし、個性のぶつかりが最も良いバランスで出たのがこのアルバムだったのだと思います。このアルバムにおいて、ユウヒの曲はこの上なくキャッチーで、ワタナベイビーの曲は捻くれていながらもポップさを失っていません。

ちょっと物議を醸した、いかにもベイビーらしい「自殺(仮)」やユウヒらしいポップソング「POP」「SUPER DRY」など素敵な曲が揃っていますが、特筆すべきはコカコーラのCMソングとしてヒットし、ホフディランの名を広く知らしめた「恋はいつも幻のように」。ジョージ・ハリスンの「マイ・スウィート・ロード」をネタにした、最高に切ない青春ポップ。

ちなみに、ぼくはホフディランの活動休止後、ソロになった二人の活動をほとんど追いかけていません。二人がまた一緒に活動をはじめたら、その時は聴いてみようと思いますが。やはり、どんなに進む方向は違っても二人が共に生み出す音楽には不思議な魅力がありましたし、他のアーティスト以上に二人でいることの重要性は大きかったと思うので、今ソロの作品を聴くのはちょっとつらいです。(あ、これは思いこみによる部分が大きいので、この二人のことだから現在の活動もきっと素晴らしいものだとは思っています。まあ、気持ちの問題でして…)

※マイナーなたとえであまりたとえの意味がないかもしれませんが、アメリカのブレッドというグループみたいな。デヴィッド・ゲイツ(ユウヒに当たる人)はすごく素敵なメロディーを書くソングライターですが、ジェイムス・グリフィン(ワタナベイビーを当てておきます)が一癖も二癖もある曲を書くから、彼らのアルバムはとても魅力的だったのだ、みたいな。ゲイツはソロでも活躍していますが、個々の曲のメロディーは絶品なのに、アルバムレベルで見ると単調なんですよね。ちょっとまとまりのない余談ですが…。