初花凛々 / SINGER SONGER

初花凛々 (初回限定盤)

初花凛々 (初回限定盤)

眠る春を起こすように朝早く出かけてみる
昨日を越えた冷たい風はまだ頬には厳しいけど

「初花凛々」の歌い出しを聴いて、advantage Lucyの『グッバイ』を思い出しました。くるりのメンバーとCOCCOのコラボレーションから生み出されたのは、両アーティストの今までの音からはちょっと想像がつかないような、爽やかなポップソング。「せっかく新しいユニットを組むのだから今までやってこなかったことをやる」「楽しむ」を合い言葉に楽曲制作が進められたようですが、その言葉はこのシングルを聴く限りではほぼ完璧に実現されていますね。透き通るような声で優しく歌うCOCCOのヴォーカルには一点の曇りもなく、今は本当に歌うことが楽しくて仕方がないんだろうなあということが伝わってきて、こちらも思わず微笑んでしまいます。零れるほどに溢れている幸福感が聴き手の心にも満ちてきて、この曲を聴けばどんな人でも笑顔にならずにはいられないのではないでしょうか。

その一方で、ぼくには何か特別なものが感じられないのも事実で、その辺りはちょっと複雑です。何歳になっても聴いていたい音楽かと問われると、くるりCOCCOの作品については「イエス」と答えますが、この作品についてはやや否定的なトーンで「分からない」としか返事できません。ぼくはくるりCOCCOも好きですし、特にCOCCOには思い入れがあるので彼女がこんなに楽しそうに歌っていることを祝福したい気持ちもあり、しかも曲自体もなかなか素敵なのでこういうコメントになってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、でも「複雑」というのが正直なところなのです。あ、でもフォローするわけではないですが、幸せいっぱいの素敵な曲です。カップリングの"Love In The Air"はトリッピーでダークなロック・サウンドで、こちらも悪くないです。

※聴き込んでいくうちに感想は変わってくるかも知れないので、その時はコメントを追記する予定ではいますが…。