The Monkees / The Monkees
- アーティスト: The Monkees
- 出版社/メーカー: Rhino
- 発売日: 1994/09/20
- メディア: CD
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前にも書きましたが、ぼくが一番好きなグループはモンキーズです。もうこればかりはどうしようもなくて、国内・海外のどんなアーティストであってもぼくにはモンキーズほどの魅力は感じられません。8000円ぐらいのボックスセットに数曲既発曲の別バージョンが入っているだけで、迷わず購入とかそんな感じで。もう未発表曲が1曲でも出てこようものなら…。
最近でこそモンキーズを悪く言う人はあまり見かけませんが、昔は「モンキーズは自分たちで曲を書いていたし、途中からは演奏もしていたんだよ」とか言い訳をしなければならないほどそのイメージは良くないものでした。日本では何度もリバイバルヒットしていますし、人気のあるバンドではあったのですが、オーディションで集められたのでロックバンド失格だとか、作られたアイドルだとか、あるいはビートルズもどきだとかお子様向けのバンドだとか、自分たちで演奏していないとか(これはマイク・ネスミスが自分で暴露した)曲を作れないとか、まああら探しがいくらでも出来るバンドだったので、音楽通や評論家の受けは良くなかったのです。
ぼくはリアルタイムでモンキーズの音楽を聴いてきたわけではないので推測に過ぎないのですが、やはりフリッパーズ・ギターの登場なんかがターニングポイントだった気がします。『ヘッド博士の世界塔』とか。そのせいでカルトな輝きを放つ『ヘッド』というアルバムにやや偏った評価のされ方をしてしまっていますが、まあどんな形であってもきちんと評価してもらえるのは嬉しいのです。
『恋の終列車(The Monkees)』はモンキーズのデビューアルバム。デビューヒットである「恋の終列車(Last Train To Clarksville)」、数多のバンドが自分たちのバンド名に呼びかえてカバーしたキャッチーな「モンキーズのテーマ([Theme From] The Monkees)」、ゴフィン&キングの愛らしい「希望を胸に(Take A Giant Step)」、マイク・ネスミス一流のカントリーポップである「パパ・ジーンズ・ブルース(Papa Gene's Blues)」、スウィートなバラードの「自由になりたい(I Wanna Be Free)」、デヴィッド・ゲイツの作で掛け合いコーラスが印象的なロックナンバー「サタデイズ・チャイルド(Saturday's Child)」など挙げればきりがないほどポップでロックな曲が並んでいます。ラーガロック〜フォークロック調の「今日は不利(This Just Doesn't Seem To Be My Day)」なんて曲もお気に入りなのですが。
実際のところ、「恋の終列車」のメロディーはビートルズの「涙の乗車券(Ticket To Ride)」そっくりですし、「モンキーズのテーマ」にしてもデイヴ・クラーク・ファイヴの「若さをつかもう(Catch Us If You Can)」を下敷きにしているわけで、モンキーズの時代にネットがあったならきっとアンチ・モンキーズ・サイトなんかが出来て、モンキーズの盗作問題を糾弾するなんて人が出てきて、中学生が聴くなら仕方がないがいい年した大人がモンキーズを聴くなんて恥だなんて言われてしまうのかなあと被害妄想気味の想像を繰り広げてみたりします。(ちょっと日本の某グループのことが浮かびますよね。モンキーズが好きなぼくに彼らを批判する資格はないのです…)
ということで、レンタルショップに行けばたいていベスト盤ぐらいは置いていますので、聴いたことがない方はこの機会に是非どうぞ。スパイラルライフも「Game Over」という曲で「恋の終列車」のギターリフを使っています。名曲揃いです!セックス・ピストルズやブランキー・ジェット・シティがカバーするほどパンキッシュで、こどもも熱狂するぐらいポップで、ビートルズばりにビートのきいたロックサウンドで、うっとりするぐらいスウィートで、ニルソンも世に出してしまうほどのソングライターの宝庫で、映画やテレビ番組にはフランク・ザッパやティム・バックリィが出てくるほどカルトで、エリアコード615の面々が参加してしまうほどカントリーロッキンで、何度もリバイバルしてしまうほど時代を超越している、そんな素敵なバンドです。なんだか書きすぎて気恥ずかしくなってきました。洒落ですよ…。