まとめ:原生花園駅 − 北浜駅

網走からの始発に乗り込み、原生花園駅に降り立つと、オホーツクの波が打ち寄せる浜辺に向けて遊歩道が整備されています。日本海もいいですが、オホーツクの見せる厳しく冷たい表情もかなり魅力的でした。当日は少し重苦しい曇天で、その影響もあったかもしれません。寒い地方の海は、やはり曇天が似合います。ただ、天気が良ければ遙かに知床連山をのぞめたので、それが残念といえば残念です。原生花園駅では駅で知り合った30代後半のサラリーマンの方と一緒に散策しました。

この駅を訪れるなら早朝がいいです。日が昇るにつれて観光客が増え、観光バスが並び、荒涼として唯一の悩みは凶暴な蚊とストーカー並みにしつこいアブだけだった早朝の原始的な面影は跡形もなく消え去ります。

北浜駅はオホーツクに一番近い駅です。原生花園で知り合った男性と別れて北浜駅で下車すると、展望台が設置されていて周囲を眺めることが出来ます。駅自体が観光スポットになっていて、10分程度の感覚で観光バスがやってくる(下車はしない)のには参りました。

北浜駅は無人駅ですが、駅舎の中には停車場という駅中喫茶があって、そこがまた人気のようです。ぼくが行ったときは営業時間外だったみたいですが。また、駅舎の中には壁から天井まで貼り付けられた名刺や切符で埋め尽くされていて、過去にこの駅を訪れた人の名残をとどめています。

中には当然はがれ落ちてしまうものもあって、ゴミ箱が設置されていないこの駅に置かれたちりとりの中には、壁から落ちた名刺や切符、メモがかき集められていて、一抹の寂寥を漂わせています。その中に、「なつかしい気持で一パイ。何だか涙出そう。高倉健さんを思い出す」というメモがありました。最近書かれたもののようで、せっかく書いたのにご愁傷様と通り過ぎようとしたのですが、下の方に名前と年齢が書かれていて、それが80歳と75歳の夫婦の方だったのです。住んでいる場所からしても、失礼ながら年齢からしてももうこの場所を再訪する可能性はあまりないなと考えるとちょっと勝手ながら可哀想になり、ええい武士の情け(武士じゃない)とばかりにちりとりからメモ用紙を取り出して再度壁に貼り付けておきました。高齢者に弱いんです。

あんまり駅舎にべたべたものを貼るのはマナー違反になるのではないだろうかと思いつつ、人のメモを貼り付けると今度は自分の切符を取り出して、つい貼り付けてきてしまいました(ご丁寧に名前まで書いて)。あーあ。