銀河鉄道 / ミルキーウェイ

ミルキーウェイ

ミルキーウェイ

ぼくが昔の音楽−−主に1970年代以前の音楽−−を愛する理由はいたってシンプルで、それはつまりそうした時代の音楽から感じられる初々しさや素朴さといったものが好きなんだと思います。あふれんばかりの情報が詰め込まれた音楽も好きですし、緻密に計算し尽くされた音楽も好きですが、でもぼくが本当にくつろげるのはもっとリラックスした音楽で、音楽を聴くのもちょっと飽きたなあというときにはいつもそういう音楽に戻ってしまいます。

銀河鉄道は1970年代に同名アルバムを1枚残して解散したグループで、そのサウンドから「70年代のサニーデイサービス」なんて呼ばれたりもしているグループです。確かにアルバム『銀河鉄道』は柳田ヒロがプロデュースに関わっていたこともあって、サニーデイサービスというかはっぴいえんど周辺の音が鳴っていました。

この『ミルキーウェイ』は喫茶ロックシリーズのおかげで世に出た幻のセカンドアルバムです。1枚目のアルバムでは熟練のミュージシャンに引っ張られたこともあり自分たちの意図するサウンドが実現できなかったということで、このセカンドアルバムでは前作の“はっぴいえんどチルドレン”的なサウンドを脱して、アメリカのシンガーソングライターたちに大きく影響を受けた素朴で、しかし美しいアコースティック・サウンドを展開しています。

ライナーノーツに掲載されている座談会ではピーター・ゴールウェイの名前が出ていたりしますが、やはりピーター・ゴールウェイに影響を受けたような穏やかな曲もあり、また陽気なカントリー調の曲あり、サニーデイ風の曲あり、当時の内省的なSSWブームに影響を受けたであろう曲あり、今の時代だからこそ評価されそうな曲がずらりと並んでいます。こういうアルバムに出会うと、ちょっと幸せを感じますね。