上條恒彦 / 出発の歌

出発の歌グランプリ

出発の歌グランプリ

上條恒彦という人ってどういう立ち位置にあったのでしょうか。ぼくにはよく分かりません。なんというかフォークとは言ってもいろんなタイプのフォークが混在している感じで、一番しっくり来る言葉が(これは決して批判的な意味ではないですが)「商業フォーク」なのですが、それとて正確なものではありません。ただ、なんとなくアメリカの商業フォークと呼ばれた音楽にこの手のサウンドが多かったなと言うだけで、上條恒彦の音楽が商業的というわけではないですし、そもそも商業フォークって言葉自体あまり意味がない。

最初聴いたときはこの声の太さに(ミュージカルの舞台でも活躍された方のようで、それも納得です)馴染めなかったのですが、なれてくるとなかなか味があります。積極的にホーンなどを導入した大げさなサウンドは、ちょうどランディ・スパークス(The New Christy Minstrels、Back Porch Majority)を思わせます。あるいは、ランディ・スパークス門下のバリー・マグワイアとか。

「出発の歌」などが有名なようですが、「ダウン・バイ・ザ・リバーサイド」で聴けるような軽快な歌声も結構好きです。URCやベルウッドのミュージシャンとはまた違ったフォークの魅力が味わえる素敵なアルバムですね。