SUGAR BABE / SONGS

SONGS 30th Anniversary Edition

SONGS 30th Anniversary Edition

シュガーベイブのアルバムが新たなボーナストラックを加えて再発されるらしいですね。新しい未発表ライブなどが収録されるかわりに、残念ながら旧盤に収録されていたいくつかのボーナストラックが削られています。ファンはまあ二つ持っておけ、ということらしいです。これは、CDの収録可能時間を考えると仕方のないことなのでしょう。ぼくは、同じアルバムは基本的に2枚は持たないようにしているので(例外はモンキーズビーチボーイズ)、買わずにレンタルを待つことになりそうですが。

SUGAR BABE山下達郎大貫妙子を中心とするバンドで、『SONGS』というアルバムを1枚残して解散しています。山下達郎という人の音楽は、初期をのぞくとぼくはほとんど聴かないのですが(せいぜいベスト盤)、この頃の山下達郎が創る音楽はとても好きです。山下達郎という人は、先を見て音楽を創っているようなところがあって、10年20年経っても聴かれる音楽をという制作の意図がぼくにはどうにも窮屈に感じられるのですが、この頃の彼は、意図したものかそうでないのかは分かりませんが、同時代を見据える視点が確固として存在するようで(今の彼が同時代に目を向けていないという意味ではないですけど)、それがかえってこのアルバムの超時代性の源になっているように思えます。バンドであったということも大きいのでしょう。

そして、山下達郎の強烈な個性をアルバムにうまく融和させる大貫妙子の楽曲の存在も大きいです。「蜃気楼の街」(でもこれは彼女のソロバージョンの方が好きかなあ)や「風の世界」は、夏の涼風のごとく、山下達郎の濃密な個性でともすれば窮屈になってしまいそうなアルバムにひとときの安らぎを与えてくれます。完璧でないがゆえに愛すべきバンドサウンドも素晴らしいです。以前中村まりさんのライブの感想(id:colourless:20051016#p1)を書いたときに「すきま」について触れましたが、「すきま」のない音楽はどうにも愛しがたいです。完璧な音楽というのは、その完璧さが最大の欠点であり、その完璧さゆえに完璧ではないと思うのですが、まあその辺は異論もあるでしょう。

ということで、お好きな方は買い逃しのないよう。