yes,mama ok? / modern living

モダン・リビング

モダン・リビング

1990年代に流行した少しお洒落でクールな音楽というのは、今の時代に聴くと少しずれている感じがします。それは別に音楽に魅力がないというのではなくて、そうしたファッショナブルな音楽は同時代のファッションやトレンドと密接にリンクしていてほとんど切り離せないので、状況がすっかり変わってしまった現在になって聴き返すとどうしても気恥ずかしくなるということなのです。

その点このyes,mama ok?のアルバムはずいぶんと自覚的というか、時代の空気を読んだサウンドをさらにその外側から眺めているような視点が存在して、その視点は流行の変化とは無縁の立場にあるおかげで、彼らの音楽は時代の移り変わりにほとんど影響されることなく新鮮であり続けています。もちろん彼らの音楽が古びない理由はそればかりではなくて、というかお洒落の一言で片付けてしまうのはやはり違っていて、お洒落なアルバムというよりは好奇心旺盛なアルバムという方が実感に即しているのですが、その宅録っぽいトラックの奥に見える彼らの好奇心は、やはり何かしら普遍的なものを持っているのだと思います。ハウス、ジャズ、ボサノヴァなどの音楽を、表面をなぞるのではなく自己流でうまく変換して聴かせる彼らのセンスとそれを客観的に見据えるクールな視点。その偉業に対する評価が、現在の「全アルバムが廃盤状態」というのは、ちょっと寂しくはないですか。まあぼくも最近久々に聴き返したのですが。

ところでぼくはyes,mama ok?については完全に後追いで、初めて聴いたのはちょうどネオアコギターポップに興味を持ち始めたここ3、4年のこと(確実に大学に入ってからのことで、yes,mama ok?やadvantage LucyWack Wack Rhythm Band、あとギターポップ全般はほとんどkissheeさんの影響)なのですが、そうした時期に聴いていたVenus Peterなんかも聴き返してみたい気がします。でももうCDを持っていないのですが…。