カタコト列車

実家に帰ってくる際、久々に新幹線に乗りました。ここ数年は帰省にしても旅行にしてもほとんど鈍行列車でのんびりと帰っていたのですが、今回は背中に20kgほどのリュックを負い、手には15kgほどのボストンバッグを持っていたので、さすがに10回ばかりの乗り換えをこなす自信がなかったのです。

鈍行列車の楽しみというのは、個人的には風景ではなくて人物で、とは言ってももちろん風景を眺めるのも楽しいのですが、それよりも畑仕事をするおばあさんとか散歩しているおじいさんとか学校帰りの学生とか、そういう人たちを見ているのが楽しくて、飽くことがありません。ぼくの知らない街で知らない人がおくる日常の一瞬を垣間見て、そのままおそらく二度と出会うことがないというのは趣味が悪いと言えばそれまでですがしかしそれなりに刺激的です。畑仕事をするおばあさんを眺めながら、おじいさんは元気なんだろうか、それとも一人暮らしなんだろうか、何を考えながら野菜を育てているのだろうかとか、そんなことを飽きもせずに考えていつも各駅に停まる電車に乗ります。