小島信夫 / 小銃

陽炎のようにゆらりと揺らめきながら、不思議と穏やかに想い出される軍隊の記憶。軍隊で小銃を抱く合間に思い起こされる不倫した年上の人妻。そしてその人妻と重なり合いながら艶めかしく擬人化された小銃。中国人女性の殺害を機に歪んでいく小銃・女への意識。舞台は戦地ですが、それが背景として舞台として重要だとは言っても主題ではなくて、もっと濃密な感覚や意識がこちらの側に流れ込んでくるような作品です。