ガガガSP / ガガガSP登場

ガガガSP登場

ガガガSP登場

アイフルのCMでガガガSPの「人間なのさ」がきこえてきて、一瞬かたまりました。別に消費者金融だからだめというのでもないのですが、ただちょっとその組み合わせの想像がつかなかったので、面喰らったというのはあります。

友部正人の「一本道」のカバーが収録されていたりもするように、日本のフォークにルーツを持ちつつ、パンクを気持ちいいほどまっすぐにやってのけたガガガSPのファーストアルバムがこの『ガガガSP登場』です。フォーク・イズ・パンクというか、スピリットの上ではフォークは時にどんなパンクよりもパンクだとぼくはたぶんどこかで思いこんでいる所があるのですが、このアルバムを聴くとその思いこみがますます激しくなって困ります。

フォークのぬくもりと高ぶりをまっすぐなロックに託した「青春時代」で幕を開ける『ガガガSP登場』。そこには青臭さに対する微塵の躊躇も含羞も感じられません。友部正人の「一本道」のカバーを聴いていても、トレンドとして、あるいはメインストリームに対するカウンターとしてしかフォークを捉えられない人にこうは歌えないだろうと思わせるだけの説得力があります。切ない「京子ちゃん」も青春。高田渡の「コーヒー・ブルース」をうまく取り込んだ「さびしんぼう」も、静と動のバランスが良く、ガガガSPのセンスの良さを感じさせます。いや、センスというか、すべてをガガガ節に変えてしまう荒削りなパワーと言った方がいいかもしれませんね。物議を醸した「尾崎豊」なんて曲をやってしまうのも、このバンドの魅力です。

ちなみにわが青春の歌というのがあるとすれば、ぼくの場合はガガガSPの「青春時代」と「晩秋」になります。毎日飲んで歌って、早朝に家に帰って2、3時間眠ってまた遊びに行くという、そんな時代もありました。「晩秋の夕暮れはー」とか、歌っていたのです。