中村一義 / 100s

100s

100s

誰も知らない中でカラオケに行って「キャノンボール」を歌ったり(カラオケ向けの歌ではないかもしれないですが)、中村一義の「な」の時も知らないような人に1週間前に予習としてアルバムを全部貸して、無理やり博愛博ツアーに連れて行ったりしたことがあります。もうその頃からはずいぶんと時は流れて、最近は中村一義の音楽に耳を傾けることもほとんどなくなってしまったのですが…。

あらためて聴いてみて、感想を書くのがちょっと難しく感じるのですが、それまでに比べてずいぶんと分かりやすくポップになっています。シングル曲、そして「いつだってそうさ」や「Yes」のようなシンプルなバンドサウンドからは、以前のように分かる人だけ分かればいいというような投げやりな気持ちが消え失せ(でも難しいのは、そういう投げやりが時に人を強烈に惹きつけるということ)、ポジティヴな感情に満ちています。それは、相変わらずのキャッチーなメロディーと相まって、聴く者に歓びを、希望を与えることでしょう。

それでぼくの関心はほとんどこのアルバムで途切れてしまっています。昨年出た100sの『OZ』も悪くはないのですが、単発で良いと思える曲はあってもなかなか夢中になって繰り返しアルバムを聴くというところまではいきません。まあそれにはいろいろな理由があるのでしょうが、それはとりあえずこのアルバムとは別の話になるので省略します。でも、この『100s』はなかなか感動的ですよ。