真夜中に聴きたい音楽

今回のセレクト交換のテーマは、「真夜中に聴きたい音楽」です。これが簡単かと思いきや、思いの外に難しくて発送の直前まで何バージョンも作ってああでもないこうでもないと悩んでいました。最終的に渋さのある「フォーク」でまとめたのですが、フォークが苦手な方にはきっと強烈な睡眠作用を及ぼすことは明らかで、それはちょっと申し訳ないなあと思っています。

1.Billy & Charles / Princess P And Me
冒頭の「one cry is born...」(聞き間違えているかもしれませんが)のフレーズが、真夜中のイメージにぴったりだなと思います。名盤探検隊シリーズで唯一のソロアルバムがCD化されたBilly Mernitが参加しているフォーク・デュオの隠れた名盤『Billy & Charles』より。


2.Eric Andersen / Today Is The Highway

Today Is the Highway

Today Is the Highway

本当は1曲目との関連で、あと夜といえばピアノだよなあということでBilly Mernitの「Special Delivery」を予定していたのですが、直前で差し替え。ギターの弾き語りが美しい、エリック・アンダーセン初期の名曲です。アルバム『Today Is The Highway』から。


3.西岡恭蔵 / ジャマイカ・ラブ

ろっかばいまいべいびい

ろっかばいまいべいびい

遠い地、南米への憧憬が胸にわき上がる、西岡恭蔵の無骨でソウルフルな歌が素敵です。真夜中というか、ミッドナイトって感じですね。アルバム『ろっかばいまいべいびい』より。


4.Sammy Walker / Blue Ridge Mountain Skyline

ブルー・リッジ・マウンテン・スカイライン

ブルー・リッジ・マウンテン・スカイライン

ボブ・ディランそっくりの歌声を聞かせるサミー・ウォーカーは、ぼくが特に好きなSSWの一人でもあります。郷愁を誘うカントリータッチのメロディーに、「フフフン」と鼻歌がまじる渋いサミー・ウォーカーの歌声。真夜中にコーヒーでも飲みながら聴きたいものです。アルバム『Blue Ridge Mountain Skyline』より。


5.林亭 / もういいかげんに

夜だから

夜だから

若き日の佐久間順平さんと大江田信さんによる林亭が自主制作した唯一のアルバム『夜だから』より。バンジョーの響きが穏やかな心持ちにさせる素敵な曲です。これもコーヒーでも飲みながら聴きたいですね。


6.Tim Buckley / Songs To The Siren
ティム・バックリィによるアシッドフォークの名曲。当初の案では、今回のセレクトは最初から最後までアシッドフォークで統一する予定だったのですが、作ったぼくすら睡魔に襲われる始末だったので、それはやめにしました。個人的に最も好きな、モンキーズのテレビ番組に出演時のバージョンを収録しました。「This is Tim Buckley」の声は、モンキーズのミッキー・ドレンツ。


7.武部行正 / また、散らかしっぱなしの秋が来て

ゆふすげびとのうた

ゆふすげびとのうた

弾き語りによる静かな曲。西岡たかしプロデュース(名義だけで実際は関与していないという話ですが)による、唯一のアルバム『ゆふすげびとのうた』より。


8.Dion / Natural Man

SIT DOWN OLD FRIENDS/ YOU'ER NOT ALONE

SIT DOWN OLD FRIENDS/ YOU'ER NOT ALONE

味わい深く渋い、大人のSSWであるディオンの名曲です。コーヒーが飲みたくなりますね(そればかり…)。ディオンというとオールディーズ歌手としても知られていますが、後にはこんなに素敵なSSWアルバムを残しているのです。アルバム『Sit Down Old Friend』より。


9.Johnny Rivers / Look At The Sun

Slim Slo Slider / Homegrown

Slim Slo Slider / Homegrown

オールディーズ歌手からの華麗な転身というと、Dionもそうですがぼくはいつもジョニー・リヴァースを思い出します。ジョニー・リヴァースは後にこんな活動もしているんだよ、と教えてくれたのは萩原健太さん(のラジオ番組「ポップス・グラフィティ」)でした。メロウなこの曲を耳やすめに。アルバム『Slim Slo Slider』より。


10.Jeremy Dormouse / Portrait For Marianne
この人についてはよく知らないのですが、こういう弾き語りの渋さって大好きなのです。アルバム『The Toad Recordings』より。


11.Bert Jansch / Of Love And Lullaby
こんな曲がさりげなく入っている名盤が、未だにCD化されないなんてひどい話です(マスター紛失でしたっけ)。素敵なアコースティックギターの響きにバート・ヤンシュの渋い歌声。コーヒーを(以下略)。モンキーズのマイケル・ネスミスがプロデュースしたアルバム『L.A. Turnaround』より。


12.小沢健二 / 夜と日時計

刹那

刹那

締めくくりは小沢健二で。今回のセレクトを象徴し、総括するにふさわしい静かでアコースティックな魅力をたたえた名曲です。そういえば今回のセレクトはコーヒーを飲みながら聴くことを想定しているのですが、というのも真夜中というとぼくは小沢健二の「back to back」という曲を思い出すからで、この曲にはこんな印象的なフレーズがあります。

夜中のコーヒーを濃いblackにして
炎みたいなこんな時
夜中の通りを渡り 飛ぶだけ
炎みたいなこんな時
夜中のコーヒーを濃いblackにして
炎みたいなこんな時

この曲を聴いたことがある人なら分かって下さるかもしれませんが、この曲のこのフレーズの部分は、本当に強烈に真夜中を匂わせるのです。しかし手持ち曲が少なくてこの曲を中心にセレクトをまとめ上げることが出来なかったので、せめてこの曲の詞をテーマの中心に据えて、今回のセレクトを作ってみたのでした。

働きはじめて初めて作ったセレクトで、時間のなさに苦労させられました。ひたすらフォークで攻めたので、睡眠薬になってしまったならすみません。それもまた「真夜中」にふさわしいということでひとつ。

ちなみにこのセレクトを聴いてみたいという方がいらっしゃれば差し上げますのでメールやコメントなどでご連絡下さい。