Mamalaid Rag / Mamalaid Rag 2

MAMALAID RAG2

MAMALAID RAG2

ママレイド・ラグの、およそ3年半ぶりのフルアルバム。3年半というと何かが変化してしまうには十分な時間で、それでいてすっかり変化し尽くすには少し足りません。このアルバムはそんな時間の経過に比較的忠実で、ほとんど変化しないものの中にも変化するものがあり、聴きながら感傷めいたり励まされたりします。穏やかさと優しさに包まれた、非常に優れたシティポップというのは前作から変わっていませんが、開放感はちょっと影を潜めて、内向的な空気が色濃くなったように思います。珍しく江口直樹さんが歌う「菜の花」のように、成熟したイメージから少し離れた若々しい曲があったりして、なかなか新鮮でした。

全12曲で、そのうち半数以上が既発曲(再録含む)。別にママレイド・ラグのこのアルバムに限ったことではなく最近ぼくが考えていることは、何のためにアルバムを買う(聴く)のかということです。捨て曲のないアルバムというのはもちろん素晴らしいのですが、じゃあ最初から最後まで完璧な曲を並べたら完璧なアルバムができるかというとそうではないのですね。並び順とかそれぞれの曲の雰囲気とかで、アルバムとしての魅力は良くも悪くも変化します。何を今さら分かり切ったことをと思われるかもしれないのですが、ぼくが今回感心したのはこの点でした。アルバム収録曲に目をやると見覚えのある曲が多かったので聴く前まではどうなんだろうなあと不安に感じていたのですが、いざ聴いてみるとアルバムとして非常に素晴らしいまとまり。一曲目の「カレンダー」から最後の「消えた恋」まで、ただよくできた曲を詰め込んでいるのではなくて、確かな繋がりと必然を持って並んでいるのがよく分かります(もちろんぼくの思いこみという可能性もあるのですが)。好きな曲を一曲取り出して聴くのとは違って、アルバムを通して聴くというのはとても時間を取られるものですし、なかなかそれだけの時間を割く気にはならないのですが、このアルバムは最初から最後まで通して聴きたい気分にさせられますね。

特に疲れたり、イライラしたりする日に聴くと、かなり穏やかな気持ちになってくるので、おすすめです。というのも、実際ぼく自身、今日はこのアルバムに救われたような気がしているのです。