真心ブラザーズ / FINE

FINE

FINE

ティールギターとスティール・パンが重なるという、これ以上は望めないほどに楽園的で多幸な「ハロー」を聴いていると思わずぐっときてしまいます。2001年末の活動休止から4年以上の充電期間を経て発表されたこの『FINE』を聴いていると、彼らが取ったデュオとしての活動休止という選択は、足踏みではなく助走のための期間だったのだということがはっきりと感じ取られます。

フォークっぽい曲からロックな曲まで、はたまた情熱あふれる曲からユルユルの曲まで、真心ブラザーズの様々な側面が現れているアルバムですが、アルバムとしてのまとまりもきちんと保っています。これはYO-KINGの「真心」な歌声によるところも大きいのでしょう。それに加えて桜井秀俊のメロディメイカーとしての実力が遺憾なく発揮されているのですから、これは素晴らしいアルバムになるほかないですよね。ママレイド・ラグの新作に引き続き、こんなに素晴らしい新作に出会えるなんて本当に幸せです。

こんな素敵なアルバムで、ベストトラックを一曲だけ挙げるというのもちょっと気が引けますが、でも個人的にはやはり「ハロー」が印象深さでは頭一つ抜けていました。スティールギターとスティールドラムという、大好きな楽器が二つも鳴っているというのが大きいのですが、こういう郷愁を誘うメロディーもぼくが何より愛してやまないものなのです。ぜひ聴いてみてくださいね。