ゲド戦記

友人と観てきました。本当は『TRICK』を観たかったのですが、こっち(帰省中)だとやっていないみたいですね。公開終了というわけではなく、そもそもやっていないという…。

ゲド戦記』について。概して不評のようなので一緒になって粗探しをするのは避けたいところですが、率直なところ満足度はあまり高くないです。言うほど悪い部分ばかりでもなかったのですが、いろいろ詰め込みすぎたのか場面場面がぶつ切りの印象があって、そこがちょっと消化不良を起こさせます。

あとぼくがこの映画をあまり評価できなかったのは、製作者側が伝えたいんだろうなあというメッセージが観客にうまく伝わってこないなあと感じたからです。メッセージが直接的すぎるとか説教的とかそういう意見もあるようですが、直接的でも説教っぽくてもずしりと胸にくるメッセージはいくらでもあります。結局伝えたいメッセージ(CMでよく流れていた「命を大切にしないやつなんか大嫌いだ」のような)がストーリーから乖離していて、唐突すぎてしらけてしまうのですね。ストーリーの流れの中で自然とそのメッセージが発せられるならもっと重みがあるのに、製作者が言わせたいからそこで言わせたという以上の必然性が感じられないのです。

でも(ちょっと長すぎるという印象を受けましたが)「テルーの唄」のシーンは素晴らしかったです。フォーク風とは言ってもどちらかというと人間くさいアメリカ(や日本)のフォークとは違って、神秘的で精霊のついていそうなヨーロッパ風のフォークで、『ゲド戦記』の世界にうまくとけ込んでいました。

いろいろ批判はありますが宮崎吾朗監督はこれが一作目。少なくともぼくは、次回作があればまた観てみたいと思いました。何作か製作すれば、素敵な映画を創る監督になりそうな気もします。気がするだけで根拠はないですが。