あるフォークの歌われ方

http://www.youtube.com/profile?user=Kirobaito

YouTubeでどこの誰ともしれない人たちの演奏を聴く日々。高校生、いかにもギターが好きそうなお兄さん、孫までいるおじいさん…いろんな人がカメラの前でいろいろな思いでもって演奏する姿は見ていて飽きません。ぼくが好きなのはKirobaitoという学生の演奏で、ジェイムス・テイラーやフィル・オクス、トム・パクストンといった選曲センスも抜群なのですが、何より若者らしいナイーブなセンチメンタリズムあふれる歌が胸を打ちます。以下おすすめの演奏に簡単なコメントをつけたものを3つほど。

Eric Andersen "Thirsty Boots"
「Violets of Dawn」「Come To My Bedside」などの美しい曲を生んだエリック・アンダースンのカバー。良くも悪くもこの過剰なまでの感傷は、これぐらいの年代でないと出せないでしょう。危なっかしいテクニックもご愛敬です。
Phil Och "I Ain't Marchin' Anymore"
内向の新世代に位置づけられたエリック・アンダーセンに対して、フィル・オクスは歌い行動するインテリのプロテスト歌手でした。(そしてぼくの最も好きなミュージシャンの一人でもあります)しかし時代は移り、この演奏においてプロテストは内省に深く沈みこみ、歌は他者にではなく自己に向けて歌われている印象を受けます。それもまた良しです。
Pete Seeger "Turn, Turn, Turn"
ピート・シーガーの緊迫したフォークスタイルとも、バーズのスマートなフォークロックスタイルとも異なる、弾き語りのポール・サイモンやエリック・アンダーセンをはじめとするフォーク新世代に共通した雰囲気を持つ「Turn Turn Turn」のカバー。

他にもトム・パクストンのカバー(メドレーと「The Willing Conscript」が特に。後者はマイク・ネスミスの「The New Recruit」の元ネタですね)やジェイムス・テイラーの「Sweet Baby James」など、素敵な演奏ばかり。次の更新を楽しみにしながら毎日チェックしています。