秋のなごみセレクト:風来坊さん編

http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20020106

風来坊さんのセレクトは、「思いっきりゴージャスに」という狙いで作られただけあって、本当にゴージャスに仕上がっています。風来坊さんのセレクトの、一度聴いただけで引き込まれるポップ度(優雅さ、華麗さ)と、けちのつけようがない構成にはいつも感心させられるのですが、今回も完成度の高さに圧倒されます。

1曲目から3曲目まではイントロにオーケストレーションを配した曲で統一されていて、全体で一つの曲であるかのように思えます。実際、初めて聴いたときには、2曲目「It's Only A Papermoon」のヴォーカルが入ってくるところで、いつの間に曲が変わったのかと驚きました。物憂げなKate St. Johnの「Don't They Know You've Gone」もいいですが(Dream Academyの人なんですね。知りませんでした)、静かで美しい武満徹「波の盆」が素晴らしいですね。

1〜3曲目は継ぎ目の感じられない一体感のある選曲でしたが、4〜6曲目は自然な流れを保ちつつもう少しグラデーションのかかったような選曲。これもお見事という他なくて、バカラックの「In Our Time」がフェードアウトして続いてプロコル・ハルムの荘厳な「Grand Hotel」が聞こえてくる瞬間は何度体験しても素晴らしいです。

7〜9曲目はクライマックスというところでしょうか。ポール・マッカートニーの「English Tea」に続いてビートルズ作品をゴージャスにアレンジした「Something」が盛り上がります。8、9曲目の、可憐と貫禄という二種類の女性ヴォーカルの対比も面白いですね。ぼくの好みはやはり8曲目です。このユニットは知りませんでしたが、コクトー・ツインズなんかと同じレーベルなのですね。なるほど。

10曲目からはいよいよ締めに。チェロの深い音色と叙情味がしみ入る「ヨーヨー・マ」から、カオスが秩序づけられていくようなELPにつながり、チェンバロ(フィニルさんのところでも少し言及がありましたが、ぼくはクラシックをあまり聴いてこなかったせいか、ハープシコードという呼び方に馴染みがあります)の響きが美しく少し切ない「Lisa」で幕引き。余韻が楽しめる最高の終わり方ですね。

しかし風来坊さんのセレクトは一体感があって素敵です。また次回も楽しみにしています。