読んでいる本、他

最近は時間がないので、朝の通勤電車の20分と帰宅(会社の人と帰ることもあるのでいつもではないですが)の20分、就寝前の1時間が本を読んだり考え事をしたりできる時間です。積読が多いので、電車では小説、就寝前はその他(数日前までは高田渡の「バーボン・ストリート・ブルース」を読んでいて、今は大森荘蔵の「時は流れず」を読んでいます)と大まかにわけているのですが、横やりというか読んでいる途中にも本屋に立ち寄ると読みたくなる本ばかりで、ついつい手にとってレジに向かってしまい、結果、積読が増えていきます。

流行り唄五十年 唖蝉坊は歌う 小沢昭一 解説・唄 (朝日新書 105)

流行り唄五十年 唖蝉坊は歌う 小沢昭一 解説・唄 (朝日新書 105)

昨日遊びに行く約束をしてその待ち合わせの前に本屋に立ち寄ったら「流行り唄五十年 唖蝉坊は歌う」というタイトルの新書が出ていて(朝日新書)、思わず買って読み始めてしまいました。添田唖蝉坊という人は明治の演歌師で、「ラッパ節」「むらさき節」「のんき節」といった当時のはやり唄を書いています。この本は息子である添田知道添田さつき)が唖蝉坊の人となりや唄について語っているものです。ぼく自身、この手の演歌には数年前までほとんど馴染みがなくて、後から考えてみれば高石ともやの「のんき節」なんかは唖蝉坊の作なのですがそうとは意識せずに聴いていて、ともかく2、3年前からようやく興味を持って聴きはじめました。

演歌というのは文字通り演説+歌であって、「説」くのではなく「歌」うから演歌なのだというようなことは本書でも触れられています。(現在の「演歌」は「艶歌」である、というのは最初に書いた高田渡なぎら健壱の著作で何度も語られています)そこはやはり歌であって、アジテーションとはまた異なって身近な生活の実感の中に鋭い風刺が挿入されていて、それがとても粋な感じがします。

新書ではありますがCDがついていて、解説を担当した小沢昭一が唄う「金金節」「のんき節〜ああわからない」「ラッパ節〜どんどん節」の3曲が収められています。以前久保田麻琴の新書本でも同じような試みがありましたが、こういう試みは歓迎したいと思います。やっぱり唄というのは聴いて唄ってナンボです。