Rolf Cahn & Eric Von Schmidt

http://www.folkways.si.edu/trackdetail.aspx?itemid=3614

ロルフ・カーンとエリック・フォン・シュミットによるフォーク/ブルース・アルバム。1959年作品。レッドベリーの「Frankie And Albert」、ミシシッピジョン・ハートの「Make Me A Pallet」、ボブ・ディランの歌唱も残されている「He Was A Friend Of Mine」などを取り上げています。

この時代の特にブルースの良いところは、そこに現実というか実感というものが確かに存在していることにあると思います。他の多くの歌の場合、フィクションであれノンフィクションであれ、そこには歌われる物語があって、歌い手がどれだけ感情を込めて歌おうとも、歌い手が歌うのは自らの言葉ではなくて、そこに既にある物語です。なので、聴き手がいかにその歌に感動を覚えたとしても、そこに何かしら醒めた…というか客観的な視点が入り込むことは避けられません。例えばサイモン&ガーファンクルの代表曲に「明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)」という曲があって、ゴスペル的な美しい旋律に加えて友情についての素晴らしい詩が歌われるのですが、でもあの歌は、作詞したポール・サイモンも含めてまず誰も自分の言葉としては歌えないのだと思います。そこのところを、ごく自然に自らの言葉として歌い出せるのが、ブルースの大きな魅力でもあります。(などと書いていますがぼくは長いことブルースの良さが分からなかった人間で、なぜ良さが分からなかったのかというと、単純に旋律の美しさなどばかり追いかけながら聴いていたからなのだと思います。ギタープレイから好きになる人もいるんでしょうが、ぼくの場合は違いました)

などと、「Nobody Knows You When You're Down And Out」を聴きながら考えていました。