Hank Williams / The Unreleased Recordings

Unreleased Recordings

Unreleased Recordings

カントリー・ミュージックの父」という冠はジミー・ロジャースに譲りますが、偉大さという点でハンク・ウィリアムスはひけを取りません。29歳の若さで亡くなるまでの数年間に残したわずか100曲ばかりの録音で、カントリーのみならずロックに対して与えた影響の大きさは測り知れません。ジミー・ロジャースは、ヨーデルの印象に隠れてしまいがちですが、まだすごくブルースに近くて、何の先入観を持たない人に何かブルースとカントリーの曲をそれぞれ聴かせてさあジミー・ロジャースはどちらに近いかと尋ねると、きっと答えに困るのではないかと思います。(もちろんそれでジミー・ロジャースの偉大さが失われることはありませんが。)その点ハンクの音楽はずいぶんと今のカントリー音楽に近い。というのは何もハンクがど真ん中のカントリーをやっていたというのではなくて、カントリーというのはそれだけ彼に大きく負って現在まで至っているのだと思います。

そのハンク・ウィリアムスが、ラジオ番組用に吹き込んでいた曲がロングボックス仕様で昨年リリースされました。未発表曲の多さに驚かされますが、なによりハンクの美声というか、伸びやかで表現豊かな歌がどの曲でも聴かれて、あらためて彼の実力を実感します。初お目見えの曲以外でも、「I Can't Help It (If I'm Still In Love With You) 」や「I'm So Lonesome I Could Cry」など既発表のバージョンを上回るような迫力があって感動します。