Johhny Cash / American III: Solitary Man

American 3: Solitary Man (Reis)

American 3: Solitary Man (Reis)

ジョニー・キャッシュほどアメリカに愛された歌手はそうはいないのではないでしょうか。カントリーとロックのいずれの殿堂にも入り(でもHall of Fameって種類が多すぎですよね。)、カントリーの偉人ランキングではしばしばハンク・ウィリアムスを抑えてトップに立ち、ヒット曲は100曲を超えます。

このアルバムはリック・ルービンのレーベルからの3作目。リック・ルービンがプロデュースしたトム・ペティやニール・ダイヤモンドの曲も取り上げられています。トム・ペティに加えてマール・ハガードシェリル・クロウも参加しています。

このレーベル(American Recordings)での録音では最後のスタジオアルバムとなった『American V: A Hundred Highways』が最大のヒットとなりましたが、死の予感の漂うゴスペルチックな『American V: A Hundred Highways』とは違ってまだキャッシュの声にも張りがあります。

大半がカバー曲(セルフカバーを含みます。)で占められたアルバムですが、キャッシュの歌が本来の、あるいは新たな魅力を浮かび上がらせています。U2の「One」のカバー(原曲は正直そんなに好きではなかったですが)も、トム・ペティの「I Won't Back Down」も、シェリル・クロウが参加した自身の「Field of Diamonds」も本当に素晴らしい。「The Mercy Seat」のたたみかけるような歌はもう圧巻です。大御所の趣味的なアルバムというたぐいの物ではなくて、これだけ凄みのあるアルバムはそうは見つからないでしょう。