裸のラリーズ / No Objection!.... MIZUTANI

裸のラリーズのアルバムはこの1枚しか持っていません。1991年に3枚のCDが出て、それが廃盤になった後は公式に入手できるアルバムもなく、コレクターズCDというかブートレグに手を出さないといけないので、なんだか気が引けてしまっているのです。唯一持っているこのCDも、もちろん1991年に出た『MIZUTANI』のブート盤なのですが、このアルバムばかりはどうしても聴きたくて、昨年購入してみたものです。

裸のラリーズというと、ファズとフィードバックのノイズにあふれた音が真っ先に思い起こされますが、この時期(久保田麻琴と一緒にやっていた時期)はアコースティックな音作りをしています。アコースティックとはいっても、水面に映した景色を眺めているような揺らめくサウンドは唯一無二のものです。「朝の光」は水谷孝久保田麻琴の共作で、久保田麻琴のソロアルバムでも美しい弾き語りの録音が聴かれます。メロディアスな側面と、ゆらゆらとつかみどころのないサウンドがうまく混ざった「記憶は遠い」も最高です。「黒い悲しみのロマンセ」のみ1973年録音で、これは最初からノイズが全開です。「THE LAST ONE」も、静かで深みのある演奏が次第にノイズに浸食されていくようなスリリングな演奏が楽しめます。騒々しい裸のラリーズの音楽にリリシズムを感じるわけも、この辺りの音楽を聴いていると分かるような気がしますね。