サイモン&ガーファンクル

今の仕事ではめったに出張なんてないのですが、先週は珍しく水曜から金曜まで葉山に出かけていました。早々に退社するいい口実だなと思いわざわざ金曜の公演を選んだら、前週に出張のことを思い出したりして結局裏目に出てしまいました。もう相当無理をして葉山を出て、開演寸前に東京ドームに駆け込みました。

昨年のキャロル・キングなど、なんだか老人のライヴばかり観に行っているような気がしますが、というのもぼくはできるだけ「思い出公演」のようなツアーでも観に行きたい性質なのです。仮に観に行って幻滅しても、昔の録音を聴いていればいつか幻滅も忘れますが、観に行きたくても観に行けなくなる日がいつか来たらもうどうしようもないですからね。

ということで、行ってきたライヴはお世辞にも文句のつけようのないものではありませんでした。やっぱり二人は微妙によそよそしかったり、曲によってはバンドのアレンジが微妙だったり、当たり前ですが東京ドームなので会場の一体感というものが出づらかったり。ポール・サイモンは、楽しそうに演奏していたソロ・コーナーを除けば、何というか本当に仕事を淡々とこなす感じに見えて、彼にとってこのライヴもアートとの仲直りのためのものなのか、などと邪推してしまったりもしました。(でも「Still Crazy After All These Years」は良かったです。)

それに比べるとアートは予想以上に良くて、キーはもちろん低くなっていて、「天使の歌声」にも年波の跡が見え隠れしていましたが、やはり彼の歌声は特別でした。「America」も良かったですが、何よりソロの「Bright Eyes」は、たぶんアートのソロ公演でも十八番の曲なのでしょうが、本当に美しくて震えがきました。あとは大好きな曲(いちばん好きな曲だったかな)といって歌い出された「April Come She Will」も。

ポールとアートの二人で印象に残っているのはトム&ジェリー時代の「Hey Schoolgirl」で、この曲を聴いてあらためて彼らのスタイルの原型はエヴァリー・ブラザーズだと感じたのですが、やはり歌い終わった後でエヴァリー・ブラザーズの影響についてのMCがありました。(どうせなら「The Lone Teen Ranger」や、アーティ、ジェリー名義の他のソロ作品なんかのメドレーで聴いてみたい。)

フィナーレは「Cecilia」で、これはポールもアートもノリが良く、どうにか「サイモン&ガーファンクル」のステージとなっていました。

と、お世辞にも最高のライブではありませんでしたが、やはり特別なものはあったのでした。