浅川マキの世界

素晴らしい音楽との出会いは唐突だ、とは言い切れませんが、唐突に出会った音楽はだいたい素晴らしいもので、生涯聴き続けるようなものであることが多いように思えます。というか、素晴らしい音楽でなければ出会ったという印象すら残らないわけで、当たり前といえば当たり前のことですが。

少し前、というか結構前の話ですが、とある店でふと安田南さんのような雰囲気をもった歌が流れてきて、誰だろうと思っていたら(おそらく)浅川マキさんでした。今年の初めに浅川さんがなくなられた後、10枚組のボックスセットが発売されたという事情もあってたまたま耳にする機会があったのです。

まだボックスセットは買っていない(韓国のレーベルからのフォーク/SSWものの再発ラッシュについていくのが精一杯で、他のものを買う余裕がないので)ので、CDの音質にも納得していなかったという本人に対する冒涜を承知で、You Tubeで「別れ」や「花いちもんめ」といった曲を聴いていました。音楽の感想はいずれボックスセットを買ったら書いてみようかと思いますが、情念的な部分はもちろん、自立した強さを感じさせるようなところに惹かれるのかなと感じています。浅川マキさんのアルバムにも、安田南さんのアルバムにも、煙草を吸っている本人の写真が使われたジャケットがあって、(煙草を吸うのが格好良いとかいうことではなく)彼女たちの自立心がその煙草を吸っている姿に象徴されているような気がしています。