飛行船について

前の会社にいた頃、喫煙室に行くとときどき飛行船が飛んでいるのが見えて、飛行船というのもいいものだなあと思っていたので、日本飛行船という会社が立ち行かなくなったというニュースを知ってちょっと残念な気持ちになりました。

前に稲垣足穂の『ライト兄弟に始まる』を読んだときにも同じことを感じましたが、人の「空を飛びたい」という気持ちには心惹かれます。高いところが苦手なので自分では飛びたいとは思いませんが、「飛びたい」という情熱が良いというのでしょうか。旅客機は人をいかに効率的に運ぶかというのが見えすぎてつまらないですし、昔テレビでやっていた鳥人間コンテストなんかでも、優勝するようなチームの人は「人よりも・飛びたい」の「人よりも」の部分が強すぎるようで、そんなに魅力を感じませんが、飛行船はただの広告飛行であっても魅力的なのだから、不思議なものです。

飛行船はライト兄弟が動力飛行に成功するより前から空を飛んでいたわけで、だからというわけではないですが、ぽっかりと空に浮かんでいるような飛行船を見ていると、空をとぶことへの憧れが素のままでむき出しになっているようで、それだけで心が踊ります。