人生に影響を与えた曲

昨年はちっとも更新できませんでした。今年は昨年よりはと思いますので、今年もどうぞよろしくお願いします。

さっきはてなブックマークを見ていたら、「人生に影響を与えた45曲」というテーマで曲を選んでいる方々がおられて、45曲は無理でも私もとりあえずこれまでの人生で影響を受けた曲を幾つか選んでみた次第です。こうやってこれまでの人生を振り返りつつ、もうすぐ三十路となる覚悟を固めていきたいと思います(早生まれなので実際になるのは来年ですが)。

では、ただ好きな曲を選んだりせず、自分の人生に影響を与えたという点から極力選んで見ました。

1.Peter Paul & Mary / Gone The Rainbow(1994年・小6頃)

PP&Mを知るまでは音楽にほとんど興味がなかったので、PP&Mと音楽にのめり込むきっかけとなったこの曲は、良くも悪くも今の生き方を決定づける記念碑的な1曲でした。

とても美しい歌ですが、それよりも「Shule, shule, shule-a-roo,Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.」というスキャットをはじめとする、歌にのせられた言葉の響きの面白さというのが、子どもごころにたまらなかったです。

2.The Beatles / She Loves You(1995年・中学1年)

音楽の深みへと引きずり込まれる決定打となったのは、ありきたりですがビートルズでした。中学1年の時は、寝ても覚めてもひたすらビートルズでした。

ビートルズに夢中になったきっかけが、中学校の掃除の時間になると流れた「She Loves You」。イントロのドラムロールと「She loves you Yeah! Yeah! Yeah!」のフレーズが本当に格好良かった。何でも掃除の時間に流れている曲を歌っているのはビートルズというバンドらしいと耳にして家に帰り、親に質問をするとCDラックの「赤盤」を示されて、あとはひたすら「赤盤」を聴きました。「She Loves You」以上に夢中になった曲もありますが、初めてビートルズを聴いたときの鮮烈な印象は「She Loves You」とともにあります。

3.The Beatles / I've Should Have Known Better(1995年・中学1年)

生まれて初めて自分の所有物となった(買ってもらった)アルバムが『A Hard Day's Night』と『Help!』でした。たまたま食事に行ったレストランのBGMで流れていた「I've Should Have Known Better」に夢中になって、どうしても聴きたくて買ってもらったのが『A Hard Day's Night』で、『Help!』はおまけ扱いでした。

PP&Mの「Gone The Rainbow」もそうですけど、ビートルズの「I've Should Have Known Better」も言葉の響きがとても面白いんですよね。他にも、私はサイモン&ガーファンクルの「Baby Driver」という曲が好きで、周囲からはまた変わった曲が好きだねと言われたのですが、「Baby Driver」もエンジン音を模したようなコーラス・フレーズに面白みがあるという点で共通しています。

4.The Beatles / Strawberry Fields Forever(1995年・中学1年)

ビートルズばかりですが、少し遅れて中〜後期の魅力に気づいた後は、家に置いてあった『青盤』にどっぷりと浸りました。最初はそれこそ「赤盤なんて子ども向けだ」ぐらいの勢いで。それからやはり『赤盤』(というか初期)も良いと思い直し、しばらくは赤青交互に聴き続ける時期が続きました。

特定の曲ばかり聴くということはありませんでしたが、「後期もいい!」と気づくきっかけになったのが「Strawberry Fields Forever」でした。

5.Billy Joel / Half A Mile Away(1996年・中学2年頃)

初めて自分の小遣いで買ったCDはビリー・ジョエルの『52nd Street』でした。衝撃度で言えば、その前に家に置いてあるレコードで聴いた『The Stranger』ですが、CDで買って自分の部屋でいつでも聴ける(レコードは居間でしか聴けない)ということで、聴いた回数は段違いに多いです。この後、ビリー・ジョエルのアルバムはほとんど買い揃えました。

「My Life」も「Honesty」も良いですが、私は「Stiletto」や「Rosalinda's Eyes」のような渋めの曲が好きでした。「Half a Mile Away」も次のアルバム『Glass Houses』に繋がるようなストレートなロック・ナンバーで、何度聴いたかわかりません。

6.王様 / 浜っ子伝説(1996年・中学2年夏)

ラジオで王様の「浜っ子伝説」を聴いていなかったら、果たして今ほどビーチボーイズを好きになっていたのかわかりません。少なくとも、ビーチボーイズを知るまでは(60's)ロックといえばUKだったので、かなり回り道はしていたのではないかと思います。

山下達郎もコーラスでゲスト参加しているとのことですが、(これは王様の他の作品にも言えることですが)見た目の色物っぽさからは想像もつかないほど完成されています。「波乗り娘」とか「カリフォルニアの娘さん」とか「神のみぞ知る」とか、何だか新しい魅力を発見してしまいます。

学生の頃に1か月ほど野宿をしながら北海道を旅行したことがあって、その時に偶然王様のライヴ(北見市民まつりとかで)を見たことがります。道の真中に小さなセットを構えたもので、残念ながら「浜っ子伝説」はやりませんでしたが、ディープ・パープルやジミ・ヘンドリックスの直訳カバーを楽しそうに演奏していました。演奏もうまいしMCも面白いので、息の長い活動ができるのでしょうね。他にも出身大学が同じ(学部は違いますが)など、王様には多少縁を感じます。

7.The Beach Boys / Let Him Run Wild(1996年・中学2年夏)

「浜っ子伝説」を聴いた後、すぐにCDショップに行って『Endless Summer』を買いました。隣町まで行かないとCDショップが無かったので、家に戻る車の中で繰り返しライナーノーツを読み返したことをよく覚えています。とりあえずベスト盤を買おうと思って『Endless Summer』を買ったのですが、その時までは大量にあったビーチボーイズのアルバムが、後日その店を訪れてみるとほとんどなくなっていたのでした。後になって思うとあれはリプリーズ以降のアルバム(ソニー盤)で、ちょうどあの時期に一斉に廃盤になったのではないかと思います。

『Endless Summer』は、「Fun Fun Fun」を聴いてこれってカーペンターズが歌ってる曲だなあと(同じことをジャン&ディーンの「Dead Man's Curve」を聴いたときにも思いました)感じたことが強く記憶に残っていて、あとは当時のお気に入り曲が「Girl Don't Tell Me」と「Let Him Run Wild」だったということもよく覚えています。

8.The Monkees / Listen To The Band(1996年・中学2年)

限られた小遣いでは買えるCDも知れているので、家にあるレコードを漁っては聴く日々でしたが、その中でモンキーズに出会ったというのは非常に良かったなあと思います。私の親はモンキーズが嫌いだったので、そもそもなぜモンキーズのレコード(リバイバル時のベスト盤でした)があったのかは謎です。

実はモンキーズは最初聴いたときはピンとこなくて、後日「Listen To The Band」の良さに気づいて、次第に「Daydream Believer」や「I'm A Believer」といったヒット曲を聴くようになるというちょっと変な順を辿りました。そのせいで、初めて買ったモンキーズのアルバムが『The Monkees Present』でその次が『Missing Links』でした。ちょうど1996年がモンキーズの結成30周年で、現在までのところまともだった最後のリバイバル期にあたっていたのも幸いしたのか、CDは田舎のCDショップでも簡単に入手できました。その後はイギリスのファンクラブに入り、やり取りをするために英語を覚え、手に入る音源はとにかく手に入れ、高校生の時にパソコンを購入してからはモンキーズが好きな方々と知り合いになって東京を案内してもらったり大学受験の時には家に泊めていただいたりと、今も思い入れ、愛着は一番のバンドです。

9.The Beach Boys / God Only Knows(1996年・中学2年)

私の祖父母が住んでいた町にあったレンタルショップ(今ではレンタルはほとんど扱わなくなってしまいましたが)では、なぜかビーチボーイズのアルバムの在庫が充実していて、そこで『Pet Sounds』と『Made in U.S.A.』とブライアンのソロアルバムを借りました。そして『Pet Sounds』を聴きながら山下達郎の濃いライナーノーツを読んで、気づいたらビーチボーイズ(ブライアン)信者になっていました。

10.Cornelius / Star Fruits Surf Rider(1997年・中学3年)

よく読んでいたミュージックマガジン誌で、『FANTASMA』のレビューが載っていて、そこでブライアン・ウィルソンの影響と共に語られていたためか、あるいはこの頃に小山田圭吾NHK-FMのアーティスト名鑑とかいう番組でモンキーズ特集をした縁があったためか、どちらが直接のきっかけだったかはよく覚えていませんが、オリジナルのイヤホン付きの『FANTASMA』を買いました。

実はこれが、初めて購入した日本のミュージシャンのアルバムだったりします。このアルバムを聴くまでは、「日本の音楽はつまらない」と間の抜けたことを言っていましたが、この頃から徐々に日本の音楽も聴くようになりました。

「Star Fruits Surf Rider」は、最初はシングル2枚を同時にかけると1曲になるというギミック重視の曲だと思っていたので、格好良さに気づいたのはかなり後になってからで、2002年頃に新宿にあったLIQUIDROOMでのライヴで聴いてからです。

11.Oasis / Don't Look Back In Anger(1997年・中学3年)

1997年の1月なのでまだ中学2年の時ですが、正月に叔父にCDショップに連れていってもらって、ボブ・ディランのベスト盤とオアシスの『(What's the Story)Morning Glory?』、シェリル・クロウの『Sheryl Crow』、それにクーラ・シェイカーの『K』を買ってもらいました。ディランは彼の趣味で、後の3枚は彼が仕事で担当しているミュージシャンのアルバムでした。

この時初めて、同時代のミュージシャンも良いものだと感じたものでした。コーネリアスにしてももともとビーチボーイズのフォロワー的な捉え方で聴き始めたので、そういうものにかかわりなく、単純にリアルタイムの音楽を聴くという体験はこの時が初めてだったのではないかと。それまでは本当に懐古趣味的でしたから。

オアシスの「Don't Look Back In Anger」は中学校最後の文化祭での劇中歌に使用するほど当時大好きだった曲です。

12.Kula Shaker / Grateful When You're Dead(1997年・中学3年)

上記に同じ。この曲や「Hey Dude」が本当に良かっただけに、解散後は中途半端な感じになってしまったのが残念でした。

13.Sammy Walker / Little New Jersey Town(1998年・高校1年)

ルーツ・ミュージックの魅力をこれでもかというぐらいに教えてくれた偉大なリイシューシリーズ「名盤探検隊」。希望者には本秀康の漫画も読めるフリーペーパーが送られ、ルーツ・ミュージックの啓蒙に大きな役割を果たしたシリーズでした。

このリイシューで知った音楽は無数にありますが、それ以上にカントリー・ロックとかSSWとか、それまであまり関心を抱いていなかった音楽に引き込んでくれたのは大きかったです。せめて大学生の時であれば、出るアルバムをすべて大人買いすることもできたのでしょうが、残念ながら高校生の懐事情では怒涛の再発には全くついていけず、後年になって現在まで、少しずつ買い集めております。

サミー・ウォーカーは中でも思い入れの深いミュージシャンで、ボブ・ディランに似た枯れた歌声と郷愁漂う美しいメロディが聴かれます。表舞台から姿を消してしまった時期もありましたが、数年前には新作をリリースしてファン(私)を喜ばせてくれました。

14.フリッパーズ・ギター / Dolphin Song(1998年・高校1年)

Corneliusを聴き始めたことと、好きだったモンキーズを元ネタにした曲があるということで聴き始め、夢中になりました。この後数年間、フリッパーズ・ギター的か否かという尺度で聴く音楽を選んでいたような気がします。また、この時期にパソコンを購入してインターネットにアクセスできる環境が整い、今はなきトラットリアのホームページにあったチャットで毎晩いろいろな人と会話していました。ある日皆がすごく沈んでいる日があって、それがフィッシュマンズ佐藤伸治が亡くなった日だったのですが、当時はフィッシュマンズを聴いていなかったので私にはいまいちピンと来ませんでした。

「Dolphin Song」、というか『ヘッド博士の世界塔』はやはり今聴いても圧倒的に格好いいですね。こういう音楽があり得るのかとやたら感心した記憶があります。この頃にモンキーズビーチボーイズフリッパーズ・ギターのファンサイトのようなものを作って、その後いろいろな方に知り合えたのでした。

15.Michael Nesmith / The Continuing(1999年・高校2年)

まだネットの情報もそれほど多くなかった時代、田舎でマイナーなアルバムを入手することは、あるいはその情報を入手することすらとても難しくて、私はマイケル・ネスミス(モンキーズ)のソロアルバムを入手することなんて一生不可能だと思っていました。

当時、京都にあったチェロキーというカントリー専門店の店長さんにとても良くしてもらって、マイケル・ネスミスのディスコグラフィーを印刷してもらったのですが(その頃はどんなアルバムが出ているのかも知りませんでした)、そのお店で遂に入手したアルバムが『Pretty Much Your Standard Ranch Stash』でした。

金銭的にも情報的にも充実してきて、手に入れようと思えばだいたいの音楽が手に入る今となっては想像もつかないくらい、『Pretty Much Your Standard Ranch Stash』は宝物に思えたものです。実際、地震が来てCDが壊れてしまったらどうしようと本気で心配して、耐火金庫を欲しがったくらいです…。

私の無人島レコードは『Pretty Much Your Standard Ranch Stash』ですし、人生でたった1曲を挙げろといわれればおそらくこの「The Continuing」を挙げます。

16.小沢健二 / 天気読み(1999年・高校2年)

フリッパーズ・ギターを経由してようやく小沢健二にたどり着いたときには、すでに彼はほとんど活動を休止していました。音楽においてメッセージ(歌詞)は重要だと思うようになるには、小沢健二の『犬は吠えるがキャラバンは進む』から決定的な影響を受けたのでした。

17.The Sundowners / Always You(1999年・高校2年夏)

この頃は、ルーツ・ミュージック以上にソフト・ロックと括られた音楽に夢中になっていました。その中でも最も印象に残っているのがこの「Always You」です。ロジャー・ニコルスらしい流麗なメロディと洗練されたアレンジは、ソフトロックの最高峰といっても良いのではないでしょうか。

高校生の時にニュージーランドに短期間留学したのですが、留学直前にこのアルバム(レコード)を手に入れて、留学先でよく聴いていたので、余計に思い出深いのかもしれません。

18.Fantastic Something / If she doesn't smile...(2001年・大学1年)

チェリーレッドのコンピレーションを買って、こんなに素敵な曲があるのかと思い、その後しばらくネオアコのCDばかり買い集めることとなりました。大学時代の前半は、ほとんどネオアコ中心に聴いていました。

19.キリンジ / 千年紀末に降る雪は(2001年・大学1年)

高校生の時にミュージック・マガジンで褒められていた(くるりも同時に褒められていた)キリンジは、最初『ペイパードライヴァーズミュージック』は一度聴いただけでその後なぜかほとんど聴いていなくて、大学生になって『3』に夢中になった後でもう一度遡って『ペイパードライヴァーズミュージック』を聴くようになりました。

本当にほぼリアルタイムでコンスタントに活動を続けながら、毎回安心して聴けるミュージシャンはキリンジだけ(だけ、は言いすぎですね)。

20.Nujabes ft. Shing02 / battlecry(2004年・大学4年)

働く意欲もなく、フリーターになる決意を固めて日々昼夜逆転の生活を送っていた頃に、たまたま夜中にやっているのをみた「サムライチャンプルー」というアニメの世界観が良くて、すぐに毎回見るようになったのですが、そのテーマ曲が「battlecry」です。それまであまり縁がないと思っていたヒップホップに関心を向けるきっかけとなった曲でした。MINMIの「四季ノ唄」も良かったです。残念ながらNujabesは最近事故で亡くなられてしまいました。

21.Johnny Cash / God's Gonna Cut You Down(2006年・お勤め1年)

ジョニー・キャッシュの死後に発売された『American V: A Hundred Highways』にも少なからぬ衝撃を受けました。死の迫った時期の録音ですし、曲によっては本当に炎が消えかける間際のような儚い歌を聴かせるものもありますが、時には「死期」を感じさせつつ、それを利用するようにして逆に生を浮かび上がらせるような力強さがあります。死を悲しむような辛気臭さではなく、生の素晴らしさをありありと伝えているような気がします。個人的にはこのアルバムに励まされつつ、怠け根性をどうにかしながら、毎朝きちんと起きて仕事に行くという生活に踏み出したのでした。

他にもあるかもしれませんが、眠る時間になってしまったのでひとまずこんなところで。