月光花 / ジャンヌダルク

月光花

さて「月光花」。売れていると思ったらどうも「ブラックジャック」の主題歌だったようだ。昔ほどではないけど、タイアップというのは今でもそれなりに有効なプロモーション手段だと思う。サンボマスターだってNARUTOの…え、あれは違う?まあよく分からないけど。

この曲は中学生向けだなあと思う。こう書くと貶しているみたいだけどそういうわけでもない。ディランが「理解できないものは批判するな」なんて歌っていたけど、音楽についてはまさにその通りで、好きか嫌いかというのはあってもレベルが高い低いというのはないと思うので、中学生向けだからレベルがどうこうって言いたいわけじゃない。

これはあくまでも個人的な見解だけど、この手の歌謡ロック(ビジュアル系ってのよりよほど分かりやすいでしょ)を一番受け入れやすいのが中学生の頃だと思う。ほどよくロックして、ほどよくナルシズムに酔って、ほどよく感情移入して…。私は結構な年齢だけどこういうの聴くよ、って人はその頃の感性をいまだ保っているのだ。それはそれで素晴らしいことだと思う。あ、個人的見解です。

肝心の曲の方だけど、僕はメロディーはそれほど好きじゃない…というかパッとしないと感じた。が、その感想はちょっと間違いだったかもしれない。メロディが地味というよりは、ヴォーカルとうまく調和するように抑制されているんだな。そのせいか、一部ギターなどが聴き苦しいところがあるけれど、全体として不思議な説得力を持った、透明感のあるバラードに仕上がっている。

僕はこの曲を聴きながら、ふとスパイラル・ライフという人たちのことを思い出した。彼らはどちらかというと渋谷系(死語だな、これは)の偽物的な位置づけだったけど、透明感のあるサウンドは妙に印象に残っている。今回のこのジャンヌダルクのシングルも、やけに自己主張が強いと感じてしまうストリングスやギターを無視すれば、あのバンドにかなり近くなるような気がする。ま、そのストリングスやギターのおかげで感動できるという人もいるわけで、一概にそれを否定するつもりはないのだけど。