砂の女 / 安部公房

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

ぼくは高いところが苦手なら狭いところも苦手。閉所恐怖症、というほどひどいものではないですが。『砂の女』は砂丘に埋もれた家(というか穴)に落とされて、そこで女性と生活するようになった男のお話。砂の囲まれた空間で、砂かきをするだけで一日が過ぎてゆくなんて想像しただけでうんざり。男は砂に閉ざされた空間から逃れようと試みるうちに、外の世界に存在する自由の実際について悟っていきます。巧みな比喩やサスペンス的展開など面白かったのですが、次第に口の中に砂があるような気がしてきて、神経がすり減りました。疲れた。