Complete / NOVO

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NOVOは横倉裕を中心にして1970年代前半に活動していたセルジオ・メンデス・フォロワー。数年前に埋もれていた音源が発掘され、一部のファンを大いに喜ばせました。購入当初、ぼくはそんなに好きな音でもないかなと感じたのですが、最近になってようやく耳に馴染んできた気がします。

推薦文を書いているのが小西康陽須永辰緒Orange Pekoeのメンバーということで、サウンドの方も推して知るべしという感じなのですが。それにしても、ここまで完璧にセルメンのサウンドを再現したバンドは世界を見渡しても他にそうはいないのではないでしょうか。ボサノヴァとポップスを融合させた洗練されたセルメンの世界−起伏のあるメロディー、明るさと憂鬱さを併せ持ったヴォーカルと完璧なコーラス、鍵楽器とパーカッションによる冷静と情熱を秘めたトラック−が細部に至るまで*1再現されていて、感動すら覚えます。

キーボードとパーカッションの作り出す音像がいかにもセルメンといった「白い森」はかつてシングルでも発売されていたようですが、ヒットはしなかったようです。ボサノヴァのリズムに乗った明るい曲で、思わずスキップしたくなります。「Casa Forte」などのスタイルを完全に踏襲した「Samba Do Comego」は、この手のクラブ向けスキャットサウンドに飽き飽きしてしまった耳にも新鮮に聞こえます。個人的にお気に入りなのはカーリー・サイモンのカヴァー作品である「幸福のノクターン」。すいこまれそうなほど透明で神秘的なヴォーカルが、とても儚げで美しいです。

*1:といってもぼくはセルジオ・メンデス関連のアルバムは2枚しか持っていないので結構適当ですが。