青山七恵『窓の灯』 三並夏『平成マシンガンズ』

どちらも文藝賞の受賞作品。『窓の灯』はなんとなく角田光代さんが好きな人ならするすると読めそうなタイプの作品ですが、「私」が窓越しに他人を見つめる場面以外は微妙な感じでした。選評にもありましたが、登場人物の魅力もあまり伝わってきませんし…。ただ、文章を書くのがうまいので受賞といわれればそうかなあとも思いました。なんというかプロのお仕事という感じで、うまいけどのめり込めないというような作品。

平成マシンガンズ』は最年少受賞で話題になった作者の作品。男性の選者(高橋源一郎田中康夫)が絶賛して女性の選者(角田光代斉藤美奈子)がやや消極的というのは何か象徴的な気もします。学校生活や夢に出てくる死神の描写はそれなりに魅力的だったりもしますが、家庭の話などは描く必要があったのは分かるもののちょっと魅力的とは言えなくて、面白いけどなんだかなという感じでした。句読点の少ない、ワンセンテンスが長い文体は諸刃の剣。

そういえばちょっと関係ないですが選者の高橋源一郎という人の良さもあまりよく分からないんですよね。肝心の『さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)』を読んでいないせいかもしれませんが(文庫なのに高価…)。選評では女性二人のそれがいちばん納得のいくものでした。