沢田駿吾 / Go!Go! Scat Bossa

re musica #5 GO!GO!SCAT-BOSSA沢田駿吾

re musica #5 GO!GO!SCAT-BOSSA沢田駿吾

朝出かけに沢田駿吾さんの訃報を目にして、帰ったら久々にこのアルバムを聴こうと決めていました。伊集加代子の甲高いスキャットに穏やかな男性のスキャットが重なる「ドライヴィング・ラヴ」。軽やかなフルートに沢田駿吾のクールなボサノヴァギターが「爆走」というよりもずっと爽やかなドライヴを演出していました。

それで今さらこんなことを書くのもどうかとは思いますが、ぼくが「沢田駿吾っていいよね」と言う時または言った時、実際には沢田駿吾の演奏というのは脇に追いやられていて、どちらかというと曲にさらりとのせられた洒落たスキャットや、軽やかなフルートがいいなあと感じているのです。スキャットやフルートが前に出てくる時もギターは控えめになっていて、時々見せ場がきたかと思うとまたすぐ後ろに引っ込んでしまいます。それじゃあ実は沢田駿吾よりも伊集加代子の方が好きなんじゃないかと思われるかもしれませんが、実際はそうではなくてぼくは伊集加代子の他の参加作品にはあまり興味がありません。なんだかんだ言ってしっかりとしたギター(ホーンやピアノもそうですが)が後ろで鳴っているから前面のスキャットが立体的な厚み・奥行きを持って聞こえてくるわけで、つまり、やはりぼくは彼のギターが好きなのです。

強烈なスキャットに負けないように厚みと情熱のある演奏を聴かせる「恋のギターラ」。ビートルズのオリジナルをとことん解体した「愛こそはすべて」のクールなカバー。バカラックの超有名曲のカバー「何かいいことないか仔猫チャン」などなど。あらためてギターにちょっと注意して聴き返しながら、彼の魅力を再確認した一日でした。