岡林信康 / 俺らいちぬけた

「好き」ではないけど「良い」というのが個人的な岡林信康に対する印象です。ディランについてもほとんど似たような感想を持っていますが…。「好き」ではないのであまり普段聴こうという気にはならないのですが、聴くと「良い」なあと感じるという。ファーストアルバムの『私を断罪せよ』はわりと好きですが、あれはレコーディングのサポートを行った五つの赤い風船の面々に負うところが大きいのでしょう。

ユーモアたっぷりの粘っこいロック「いくいくお花ちゃん」、救いを求めるような歌が厳かな「ゆきどまりのどっちらけ」などは聴いておいて損はないはずです。少なくとも岡林=フォークとして退ける理由はありません。なぜならすでにフォークを突っ切っているから。(だから保守的なぼくは思い入れを持てないのかもしれません)強烈な風刺を込めた「偉いもんだよ人間は」、混沌とした「人間の条件」も良いです。でもぼくが好きなのはバンジョーやスティールギターが入ったカントリー風の「俺らいちぬけた」ですね。うーん、やっぱりぼくはディランがエレキに持ち替えたときに裏切り者と叫んだであろう人間なんですねぇ。