Harry Belafonte / By Request

http://www.akh.se/harbel/lpm4301.htm

心から震えるような音楽体験は意外と思い出せない。最近、といっても2ヶ月も前のことですが、知人にそういう音楽があれば教えて欲しいと言われてずっと考えていたのですが、ライヴのように一体感や臨場感で感動が加重されるような体験はあるとしても、音楽そのものの力として心が打ち震えるような、そんな音楽というのはやはり稀であるように思います。

ハリー・ベラフォンテの『By Request』は私的にはそういう体験ができるアルバムで、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、ゴードン・ライトフット、ジョン・スチュワート、ポール・サイモン、フレッド・ニールといったソングライターの曲を取り上げていて、耳あたりのいいアルバムになっているのかと思えば、ベラフォンテの円熟した歌が凄まじく、胸に迫ります。

「Abraham Martin And John」はDionの他多くのミュージシャンが取り上げている曲で、ぼくもMahalia JacksonやThe Brothers Four、Marvin GayeのものはCDなりLPなりを持っていますが、本当に深い底から響いてくるようなベラフォンテの歌唱は白眉であると思います。